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2025/12/11

第4回|リフト設置を可能にする構造条件

第4回|リフト設置を可能にする構造条件

こんにちは!
千葉県で一人暮らし専用のガレージハウスやデザイン住宅をプロデュースしているアレグレホームの横堀です。

──天井高・梁補強・床荷重・電源・安全基準まで徹底解説**

リフトは“後付けが難しい設備”だからこそ設計段階がすべて

ガレージユーザーの憧れと言えば“2柱リフト”。
しかし、住宅ガレージでリフトを設置するには、床・天井・梁・電源がすべて特別仕様である必要があります。
後から対応しようとすると大規模改修が必要になるため、リフトの可能性を少しでも考えているなら最初の設計が勝負です。

天井高は最低でも3.2m、推奨は3.4〜3.6m

一般的な住宅ガレージの天井は2.4m前後。
これではリフトを上げた際、車が天井に当たります。

▼必要天井高の目安

  • 軽・コンパクトカー:3.1〜3.2m
  • SUV・セダン:3.4m以上
  • ガレージシャッターが天井側に巻き込む場合:+200mm必要

特に「電動シャッターの巻取りスペース」は盲点で、
カタログ値では足りても実際には干渉するケースが多い。
リフト導入を考えるなら “天井は高ければ高いほど良い” が基本です。

梁補強:リフトの横揺れを制御するための必須項目

リフトを設置すると、車を上げ下げした際に柱脚には大きな横荷重がかかります。
これを受け止めるには「梁の剛性」が重要。

  • 柱脚付近に**太い梁(H鋼または集成材)**を計画
  • スパンが広いガレージは梁成を上げる
  • 鉄骨ガレージの場合はブレース(筋交い)追加も有効

住宅仕様の梁のままだと、
長期的に“揺れ → 床アンカー緩み → 不具合”につながるリスクがあります。
構造設計をガレージ仕様にすることが安全性に直結します。

床荷重:リフト対応なら“150mm厚+D13@150”が基準値

第3回でも触れた通り、リフト対応床は通常より強靭な構造が必要です。

▼2柱リフトの場合

  • 床厚:150〜180mm
  • 鉄筋:D13@150ピッチ
  • アンカーボルトの有効埋め込み深さが確保できるかが最重要

特に注意すべきは “ひび割れ(クラック)”
クラックが柱脚付近に走るとアンカー保持力が落ち、危険。
そのため、柱周りの補強打ちやジョイント位置の調整が必須です。

電源:200V必須+専用ブレーカー

リフトは電動モーターで動くため、100Vでは力不足。
ほとんどが 200V専用回路 を必要とします。

  • 単相200V or 三相200V(家庭なら単相が多い)
  • 専用ブレーカーを設ける
  • 配線ルートは天井側を推奨(床だと巻き込みの危険)

加えて、ガレージ照明や工具電源も考えると
コンセント計画を“普通の2倍” で設計するのがおすすめです。

安全基準:見落とされがちな“クリアランス”

車を上げた状態で、以下の点に当たらないように確保が必要です。

  • 天井
  • 照明器具
  • シャッターレール
  • ガレージ梁
  • 壁面の棚・工具

最低でも四方に300mm以上の安全クリアランスを確保することで、事故の可能性を大きく減らせます。

まとめ:リフト対応ガレージは“構造×電源×クリアランス”が命

リフトは“後付けNG設備”の代表格。
だからこそ、リフトが置けるガレージは家の価値を飛躍的に上げます。

次回は、さらに深掘りして 「ガレージ換気・排気設計」 を解説。
排ガスの処理・換気扇のCFM計算・配置の最適解まで踏み込みます。

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